世界の伝統染織の復興・継承をミッションとするショップ
福島県猪苗代町。
雄大な磐梯山と猪苗代湖に挟まれた町は、四季折々の自然の厳しさと美しさを体感できる場所だ。
そんな猪苗代町に、日本でデザインディレクションを行い、モロッコで製造をするカーペットのショップがある。
Roots shopという名前のショップで、猪苗代町清水前にある工務店「Roots猪苗代」の2階まるごとワンフロアがショップになっている。
このRoots shopを運営しているのは新潟市秋葉区にある三方舎。
代表の今井正人さんは、2000年代にイランの遊牧民が作る絨毯「ギャッベ」の選定人として、国内にギャッベを広げてきた実績を持っている。
2011年に新たに三方舎を立ち上げ、世界の伝統染織の復興・継承をミッションに活動を開始。
その一つが、衰退しつつあるモロッコ絨毯との協業だ。三方舎でデザインを行い、製造は現地で実施。
絨毯は今井さんをはじめとした三方舎のスタッフが、その製造のストーリーをしっかり伝えながら販売をするという、丁寧なプロセスに重きを置いている。
このRoots shopで販売をしている他、全国のインテリアショップを周り、展示販売会を行っているのも特徴だ。
現在はモロッコだけでなく、ネパールの工房とも協業を始めているという。
そのデザインサンプルがRoots shop内で見られるが、こちらの製品ラインナップができ上がるのも楽しみだ。
作家による暮らしの道具も取り扱う
Roots shopでは絨毯だけでなく、国内の作家や職人の手仕事による暮らしの道具も扱っている。
銅器や焼き物、ガラス製品など、作家の個性があふれた作品たちは、誰もが知っているブランド品や量産品にはない、温かみを感じさせる。
それは、その作品を通してその向こう側にいる作り手の人柄が感じられるからに他ならない。
手間も時間も掛かる手仕事によるものづくりは、効率性とは程遠いプロセスを経てつくられる。
でも、食事をする時、水を飲むとき、花を飾るとき…。そこに効率を求めることに何の意味があるのだろうか?
Roots shopに並ぶ製品はどれも手間が掛かっているものばかりだ。しかし、それらを見ていると、自分が日々楽しくハッピーな気分でいられる暮らし方は何だろうか?
というところまでを改めて考えるきっかけを与えてくれるようだ。
効率重視が悪いわけではない。ただそうではない価値観が、心を満たし、幸福感を与えてくれるというのも一つの真実であるように思う。
この日は、こだわりの一枚板の展示販売企画「究極の一枚板展」が行われていた。
中には「神代木(じんだいぼく)」と呼ばれる、1,000年以上もの間地中に埋もれていた木も展示されていた。
それらは塗装をしたわけでもないのに、長い年月を経る中で、木の隅々が漆黒に染まっていた。
一枚板それぞれに木の個性があり、背負っているストーリーがある。
Roots shopはそのような価値を伝えることもミッションとしている。
広い敷地にはタイニーハウスが点在
Roots shopが入るRoots猪苗代は、工務店の事務所でありながら、カフェも併設している。
建物の中で食事やお茶をすることもできるが、テイクアウトもOKだ。
広い敷地内にはタイニーハウスが点在しており、森林浴を楽しみながらくつろぐこともできる。
タイニーハウスの中にはロッキングチェアが置かれており、小さいながらも贅沢な空間が完成していた。
外に出れば、深い軒に守られたデッキでイスに腰掛けてくつろぐこともできる。
もはや、家は大きい方がいいという時代ではない。
本当に気持ちいいと思える空間は人それぞれで、必ずしも大きなものでも華美なものでもない。
素朴なものの中にある豊かさに多くの人が共感するようになってきているが、社会が成熟していることの証なのかもしれない。
まるでテントを木造でつくったようなタイニーハウスも!
RootsShopがあるRoots猪苗代。
数十年前のバブルの時代が、モノに対する憧れが強かった時代とするなら、今の時代はモノによって得られる体験に重きが置かれる時代と言えるかもしれない。
そんな時代の価値観にフィットするライフスタイルがここで提案されているようだ。
SHOP DATA
RootsShop(Roots猪苗代2F)
tel.0120-91-3969 fax.0120-91-6643
営業時間 9:00-17:00 定休日 火・水・木
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