9月に入り空気が夏のそれとは別ものになったのを感じる日が増えてきた。
まず湿気が少ない。
それはとても快適なことなのだが、不思議なことにあれだけ苦しまされた8月の湿気が恋しくなってくる。
雲一つない青空が広がっていても、夏のそれとは違い、青空が淡い色合いに感じてしまいどこか寂しさを感じさせる。
そして、雨が降った日には、Tシャツでは肌寒く感じるようになった。
夏は終わったのだ。
夏はこのようにして、いつも急にいなくなる。
私は雨の日が嫌いではない。
なぜなら庭を見に行くのが好きだから。
先週の日曜日は一日中雨予報が出ていたので、私はここぞとばかりに田上町の椿寿荘へ向かった。
国道403号線沿いにある椿寿荘は、大正7年(1918年)に完成した豪農・田巻家の離れ座敷で、釘を一本も使わずにつくられた寺院様式の建築物だ。
庭は京都の庭師・広瀬万次郎による京風の枯山水庭園。座敷から眺める主庭は奥行き感があり、見ていて飽きることがない。
特に雨の日は緑の色がいっそう濃く鮮やかになり、雨で濡れた庭石は艶やかである。
雨の日は訪問者も少ないので、ゆっくりと静かに庭と向き合うことができる。
と、言いたいところだが、私はこの日2歳の息子を連れていたので、実際はそれほど静かに穏やかに庭を眺めるわけにもいかないでいた。
座敷を走り回ろうとする息子を制すのに苦労していたからだ。
でも、奥座敷へ行くとむすこは手摺にもたれかかり、雨がしとしとと降る庭を眺め始めた。
そこはかとなく心を穏やかにしてくれる庭の力を感じてくれたならうれしい。
椿寿荘
新潟県南蒲原郡田上町大字田上
0256-57-2040
入場料:400円、小中学生300円
開館:9:00~16:00
休館日:年末年始
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